伯父が亡くなり、相続の手続きをすることになった。
なかなか立派な職に就いていた伯父であったが、相続税がかかるほどの大金は出てこなかった。祖母はネットショッピングだけでなく、家に大工を入れて手入れをすることも大好きだった。その軍資金の大元はなんとなく分かっていたので、それも当然のように思った。
祖母の浪費癖について、私も母も伯父に「あれはそろそろ止めた方がいいのでは!?」と忠告したが、「自分が生きてるうちは面倒見るでいいわ〜」といつもの調子でのほほんと返された。おい、先に逝ってしまったじゃないか。
なので、伯父の残した現金は、将来の修繕費や祖母の生活の一部に充てることにした。祖母のネットショッピングには多少の監査が入り、家の手入れはこちらに一任してもらうことにした。
だが、伯父の相続で、土地や家屋、現金のほかに"株"をなんとかしなければならないことを考えていた。
伯父には株主宛ての郵便物が届いていた。
第一生命とパナソニック。
この2社の株を持っているらしい。
ただ、ひとつ問題があった。
どこの証券会社にあるのか、その所在が分からなかった。
伯父は、お金のことにあまり頓着しない人だった。
第一生命の配当金は、銀行口座に振り込まれていた。
一方、パナソニックの配当金は、郵便局で換金するタイプ。
届いた封筒を開けては、そのへんに置いてあった。
いろいろ掻き集めると、どうやら、長いこと換金していなかったようだ。
そんな伯父なので、株についての関心はあまり高くなかったのかもしれない。証券会社のことをきちんと聞いた記憶もない。
とりあえず、残された書類を探してみることにした。
書類の中には、野村證券からの封筒があった。
よし、ひとつ見つけた。
さっそく相続の問い合わせ窓口に電話してみた。
「父が亡くなりまして」
続柄を聞かれて、
「娘です」
と答えた。
葬儀のときもそうだったけれど、伯父のことを「父」と説明するのには、まだ慣れなかった。
普段はずっと「おじ」だったのに。
でも、戸籍上は父と娘。
ここで改めて、養子縁組しておいてよかったと思った。
さて、肝心の株。
野村證券に何の株があるのか、電話しただけでは教えてもらえなかった。
「第一生命だけですか?」
と聞いても、教えてもらえない。
相続人であることを証明するために、戸籍などの書類を提出する必要があった。
手続きを進めた結果、野村證券にあったのは第一生命の株だった。
あれ?パナソニックは…?
ほかにも証券会社の書類がないか探すことになった。いろいろものが散乱しているように思っていたが、伯父の部屋に、大事なもの入れにしていたのであろうケースがあった。そして、その中から折りたたまれた古い紙が出てきた。

そこには、伯父の字でIDやパスワードが書いてあった。
そして、見慣れない名前。
オリックス証券。
……どこ?
さらに、別のところには「マネックス•ビーンズ証券」という名前まで出てきた。
調べてみると、どうやらどちらも今は使われていない昔の証券会社の名前で、現在のマネックス証券であることが分かった。
伯父、ちゃんとメモは残していた。
しかし、その証券会社に記してある株の銘柄は私には見覚えの無いものだった。
三洋電機。
パナソニックの株を探していたはずなのに、三洋電機?
調べてみると、三洋電機はパナソニックの完全子会社になり、株式交換が行われていた。
つまり、昔の三洋電機の株が、パナソニックの株になっていたらしい。
ようやく見つかった!!
こうして、野村證券に第一生命、マネックス証券にパナソニックの株があることが分かった。
相続の手続きを進め、第一生命の株は特定口座、パナソニックの株は一般口座となった。
さて、これをどうするか。
SBI証券に移して、そのまま持っておくことも考えた。
でも、その少し前に、ポイ活で貯まった3,000円を使ってNISA投資信託を買ってみた経験から、そのまま保有するより自分のNISA口座で買い直すことを考えた。
ただ、正直どちらが良いのかは、よくは分からなかった。
分からなかったが、私は株主になるなら=株主優待!どうせ株を持つなら、何か貰える方がお得じゃない!?と、優待株の事を考えるようになった。
伯父が亡くなって以降、私は解約解約解約と、デジタル相続してしまった遺産の所在確認や整理に追われ、疲れ果てていた。とはいえ現金は家の事に全て使うことを決めたので、何か、私にもご褒美が欲しい…。
いろいろと調べた上で損益通算することも考え、伯父から相続した株は、一度全部売却することにしたが、そのお金を自分のために使うのは抵抗があった。だから、株で貰える優待くらいは私の楽しみにしても、おじは「いいよー。」って言うのでは…?
そんなことを考え、今度は自分で株を選んでみることにした。
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故人の証券口座が分からない人へ。ほふりという制度があるらしい。